本
同全集の前第10巻に続き、海と山での遭難記が収録されている。それらのタイトルおよび著者は次の通り。・タイタニック号の最期 ウォルター・ロード ・アルプスの悲劇 シャルル・ゴス ・剣沢に逝ける人々 東大山の会 ・松尾峠の思い出 槇有恒 ・太平洋漂流四…
学術全般に亘り、広く専門的内容を包含する巨大な叢書体系「岩波講座」において、先にご紹介した「世界歴史」と対をなして歴史学を取り扱ったものが、「岩波講座日本歴史」である。「世界歴史」同様、この「日本歴史」も、次に示すように戦前より改版を重ね…
アメリカの大衆小説家、エドガー・ライス・バローズの処女作である。単行本として出版されたのは1917年ながら、初出は1912年、雑誌「オール・ストーリー」に「火星の月の下で」というタイトルで掲載されたらしい。この「火星のプリンセス」を読んで、初めて…
「トレント最後の事件」については、そのタイトルから、名探偵トレントの活躍するシリーズが前にあるものとばかり長らく思っていたのだが、この考えは誤りであることがわかった。そもそもE.C.ベントリーが1913年にこの作品を書いた動機というのが、当時爆発…
正岡子規、およびこの文学的巨人に繋がる二人の作品を収録した巻である。[正岡子規]仰臥漫録 竹の里歌 [高浜虚子]柿二つ 五百句 [長塚節集]土 病中雑詠 子規については、ここに収められた「仰臥漫録」をはじめ、これとともに所謂「四大随筆」を呼ばれる「松…
アントン・チェーホフと聞けば、「犬を連れた奥さん」「桜の園」「三人姉妹」といったタイトルがすぐ念頭に浮かび、これらを含めてある程度の数の作品を読んだつもりでいたのだが、登場人物は?ストーリーは?となると、遺憾ながらほとんど記憶から呼び出す…
この全集の第5巻「陸路インドヘ(上)」には、1905年10月から翌年2月にかけてヘディンの通過した次の土地の紀行が収められていた。トルコ、アルメニア、イラン(テヘランまで)、カビール砂漠の辺縁および横断路 そしてこの第6巻「陸路インドヘ(下)」では、1906…
H.M.Edwards著「Riemann's Zeta Function」は、元々Academic Pressの数学叢書「Pure and Applied Mathematics」の一冊として1974年に刊行され、それから約30年を経た2001年、Doverから廉価版ペーパーバックの形で復刊された…
改めて言うまでもなく、司馬遷の著した「史記」は、中国の歴史書の正統とされる二十四史においても筆頭に位置付けられるものである。最も古い時代を扱って最初に置かれると同時に、内容の豊かさと記述の妙、すなわち質・量ともに他に抜きん出ていることをご…
「時間封鎖」「無限記憶」「連環宇宙」からなる時間封鎖三部作で知られるカナダのSF作家、R.C.ウィルスン(Robert Charles Wilson)の、これらに先立つ2001年に発表された長編SF小説。といっても、個人的には同三部作は本棚に並んでいるものの未読で、この作家…
ともに明治前半に生まれ、命を永らえることなく他界した二人の作品を集めた巻である。短文を主とする文学者だけに、二段組400を越えるページに収録された作品数は少なくなく、以下の通り。[国木田独歩]忘れえぬ人々 牛肉と馬鈴薯 運命論者 馬上の友 第三者 …
「世界山岳全集」は、昭和35(1960)年から翌年にかけて朋文堂から発行された、全13巻本である。同種のものとして、少し後にあかね書房から「世界山岳名著全集」12巻が現われ、こちらには姉妹集として、先立つ「日本山岳名著全集」もある。当初はこの二つを書…
以前記事にした「筑摩世界文学大系19 ゲーテI」と同じ全集に属する第23巻、やはり昭和35(1960)年の発行である。バルザックの作品で読んだとはっきり記憶しているのは「ゴリオ爺さん」くらいで、個人的にはあまり馴染みの深い作家ではないが、この一作を読ん…
筑摩書房の「世界ノンフィクション全集」もまた、何度か改版の重ねられたシリーズだ。この全集の量、および質を考えれば、それも当然かもしれない。先ず1960(昭和35)年に全50巻本として発行されたが、1966(昭和41)年には「現代世界ノンフィクション全集」と…
この全集も、何世代かの版がある。私の書庫にある一揃いは1960年代の発行で、恐らくその内一番古いものと思われる。その後、1975年から79年にかけて、新たに世に出た作家の作品を収録した巻を増補した形で再出版され、さらに80年代にもまた刊行されたらしい…
「岩波講座」は、岩波書店の専門叢書シリーズとして有名なものだが、「世界歴史」はその一つである。この世界歴史は、元々1969年から71年にかけて全31巻(本編29巻+別巻+総目次・総索引)が刊行され、1997年から2000年に亘っては、構成を変えた新版全29巻が…
スウェーデンの地理学者にして、その学術上の発見・探求のため、中央アジアを中心にユーラシア大陸を広く踏査・探検したスヴェン・ヘディン。我が国におけるそのヘディンの著作集としては、1960年代に白水社から発行された「中央アジア探検紀行全集 全11巻」…
数年前から、基本的にフィクション、ノンフィクション、そして学術・専門書を並行して読むのが習慣となっている。無論、読了の区切りなどでしばらくそのジャンルの読書を休むことはあるが、概ね常に三、四冊を繙いている状態だ。この「物理入門コース 相対性…
本全集は、志賀直哉・佐藤春夫・川端康成・小林秀雄という錚々たる文筆家の監修の下、1950年代終わりから60年代初めにかけて修道社より出版されたものだが、売れ行きが思わしくなくすぐ絶版となったのか、出版社自体がなくなってしまったのか、ともかく一度…
久しぶりにゲーテを読んだ。テキストは古い全集、筑摩世界文学大系の第19巻である。奥付を見ると、発行は昭和35(1960)年と記されているから、今から半世紀以上前の本ということになる。箱入りハードカバーの外観、本文は何と三段組だ。この時季、炬燵で読書…